大又沢(おおまたさわ)は酒匂川水系世附川の最大支流で大きな流れにもかかわらず、昭和期以降西丹沢でも唯一の無人帯であり自然の残ることで知られる人気ポイントである。

平成22年の台風による水害で一時流域周辺は荒れたが、復調の兆しもあるという。

大又沢

流域データ
流域主方位 SE ( 122 °)
主流長 4.1 km
最高標高 1174.5 m
最低標高 470.3 m
平均標高 737.7 m
植林地 35.4 %
流域平均傾斜 31.3 °
道路延長 12.9 km



大又沢と渓流釣り

明治後期に集落があることがわかり、大正に入って分教場が置かれたという歴史を持つ。

大又ダム

しかし、その後の関東大震災の山津波による集落の全滅で今に至っており、震災慰霊のために地蔵尊を置いたことから地蔵平の地名があるようだ。

その集落名は不明であることはもとより、他の地名についても戦国時代に甲斐武田軍が小田原攻めの際に駐屯したといわれる信玄平がわずかに地名として残るのみである。

また、昭和30年代に林業従事者の飯場が地蔵平にあったというが、現在は、かつての歴史をうかがい知ることはできない。

入渓に関しては、中川の上野原より二本杉峠を経て大又ダム上流へ出るルートなどいくつかあるが、一般的には浅瀬ゲートから水ノ木幹線林道で浅瀬橋を渡り、右折して大又沢林道(大又沢幹線林道)を辿り地蔵平へ向かう。かつてはこれに地蔵平まで森林鉄道があったのは余談としておきたい。

千鳥橋から

浅瀬ゲートから地蔵平まで2時間ほどで、慣れれば平坦な林道歩きなので距離はあるが比較的らくな行程だと思う。

大又沢ダムまでは平凡で水量も無く、地蔵平までの開けた平瀬が続き変化に乏しいので、本格的に大又沢で渓流釣りを楽しむなら各支流ということになるだろう。

林道の途中、法行橋で法行沢を渡ると法行沢林道が左に分かれて右に大又沢ダムが見えてくるはずだ。

浅瀬ゲートよりここまで約4kmほど。林道が千鳥橋で右岸に移りさらに30分程で地蔵平に着くと思う。

大又沢は、地蔵平で分岐して左岸側からバケモノ沢、右岸側左手が本渓の本水沢である。

以前は人気釣り場ゆえに入渓者が多すぎるというきらいがあった。

大又沢上流

2010年(平成22年)9月8日に関東地方を通過した台風9号による豪雨に伴い、世附川水系は大打撃を被ったのは記憶に新しいところで、以降しばらく入渓を制限されたことなどもあり、近年の情報と人影は薄い。

しかしながら、昨今回復の兆しも見え始めているようではある。

バケモノ沢や本水沢のイデン沢、ダム下流で合う水量が豊富な法行沢など、かつて名渓と呼ばれた釣り場も多い。

オールドファンであれば、比較的被害の少なかった最上流部支流群などを再訪気分で入渓とシャレてみるのも悪くはないだろう。

復活したイワナ・ヤマメの姿を追うのも一興かもしれない。

法行沢

法行沢

大又ダム下流で右岸より入る法行沢は意外に水量があり釣りやすい。

遡行すると左岸から井戸沢、その先で長尾沢との二股。

ダム下流に合流点が位置することから、比較的早期からの場荒れが気になる。

本水沢

本水沢

遡行は比較的らくで、イデン沢出合を過ぎ、すぐに白水沢(泉沢)が左岸から合う。

その先の二股で左岸より白石沢入るが、いずれも小沢ゆえに本水沢の種沢として残したい。

有志による放流もあるようで、イワナ・ヤマメの混生。

バケモノ沢

バケモノ沢

流域の標高が高いバケモノ沢は、信玄平まで林道が走る。

本水沢流域と競ってもよい流れではあるが、流域の植生が関係するようで水量については少ないことが多い。

セギノ沢出合までは良型のヤマメが顔を出すが、以遠は小型ばかりが目立つ。

世附森林鉄道(世附森林軌道)

往時の世附森林軌道

流域の林道を歩くと何かの遺構が目立つが、これは川沿いにかつてあった、昭和9年 ~ 昭和38年に廃線、昭和41年には線路撤去となった森林鉄道の名残りである。

初期は馬がトロッコを引いて登り、下りは伐採された木材や炭を積んでブレーキだけで下ったようで、昭和17年(1942年)にはガソリン機関車が走っていたという。

浅瀬を起点に大又沢に沿って地蔵平まで行く浅瀬大又線と世附川沿いを水ノ木まで続く浅瀬金山線があり、その軌道跡が現在の林道になったという歴史もあるので、ノスタルジックな気分を感じながら遡行するのも覚えておいて損はないだろう。

酒匂川漁業協同組合

【ヤマメ、ニジマス、イワナ、アユ、他】 3/1~10/14

  • 日=1,500円
  • 年=12,000円
  • 現=2,500円