長い冬、アングラー(釣り人)としては、ただ悶々と渓に思いを馳せるのも良し、管釣りで感を養うのも良しといった時期ではある。

道志川下流(青野原付近)

地図と記憶と情報を頼りに机上で来シーズンに備えるのも良しといったところに落ち着いている昨今です。

そういった中で、ふと気になる話を聞いたときのメモ書きを見つけたので今回はこのテーマを。

中道志川(両国下流)にイワナの存在がある謎

以前にも”丹沢山地におけるイワナ在来種”という見出しで、「神地以遠などの沢筋や最上流部にヤマトイワナ(キソイワナ)系がわずかながら存在し、これを丹沢の在来種とする考えも少なくはない」と紹介したが、確かに下流の神ノ川をはじめとする多くの支流では、すでに放流を由来とするニッコウ系のイワナが存在するにとどまっている。

湯口沢

今さらの追記になってしまうのだが、あの話はあくまで渓流釣り場としてメジャーな支流神ノ川と両国以遠の山梨県側においての話にとどまる。

さらに下流の中道志・下道志と呼ばれる青野原下流域、つまり奥相模湖下流についてはノーマークであったわけだ。

この区域は渓流釣りだけをとれば、漁業権の放棄地?というように放流もほぼなされていないようで、渓魚の絶対数は悲しいほどに薄い。

ただ、亀見橋に管理釣り場があることも含めてゲリラ放流や稚アユ放流に交じるなどの要因もあるのかニジマスやヤマメの姿は少なからず確実にあるわけだ。

付け加えて言うならば、流入する枝沢である寺入沢や西沢などの小渓は昔から地元渓流ファンなら渓流釣りポイントとして周知しているところなのだ。



道志川流域はかつてヤマトイワナの川だった?

本題に入るが、この両川でかつてイワナを釣っていたという話を聞いていた覚えがあり、氏によれば、つい十数年前までの話であり、「よいイワナが釣れたものだ。」と過去形、しかも山での立ち話。初老の渓流マンであったので、おそらく今は引退されているだろう。

寺入沢

つまりは、今から二十年程度前までは確実にイワナの姿があったということになる。

もちろん、その方に現段階では連絡の取りようもないわけで、話に上ったイワナが「ヤマトイワナであったかニッコウイワナであったか」まで聞いてはおらず、当時、”イワナはイワナ”とばかりに釣ることばかりを考えていた自身の軽率さを今となっては悔やまれるばかりなのだ。

河川図を見る限りでも流域には寺入沢をはじめ西沢・湯口沢・古沢と釣行可能な同規模の枝沢も多く、これら支流群の探釣次第では思わぬ発見があるやも知れぬと目論んでいる次第なのである。

しかしながら、かつてはボクも本流の第二発電所付近などを一発大物を狙いで通い詰めたことがあったが、界隈でイワナの姿を確認した覚えがない。

氏の話と自身の経験を踏まえると、いずれかの枝沢最上流部にわずかながらイワナが存在していたのだろうか?

いずれにせよ、知る限りにおいては、この流域にヤマメはまだしもイワナの放流がかつてあったという話も記録も見当たらない。

とすれば、渓魚の多くが絶えたといわれる大正期の大震災以降の在来種イワナの末裔である可能性も高くなってくるわけなのだ。

古沢の出合

しかも、ずいぶん前から津久井湖の沼本ワンドでバスフィッシングにイワナ(いずれのイワナの種であるかは不明)・ヤマメがかかる、という話はよく聞くところであった。

拡大解釈を承知で言えば、遡上を妨げる堰堤があったとしても下流への一方通行で、これらの支流群とダムまでの渓魚の交流があるのかもしれない。

ニッコウ系であったかヤマト系であったのか?
いや、過去形で語るのも早計、いまだに存在の可能性も無きにしも非ず。

自身もいまだ確認には至ってはいないが、おそらくはゲリラ放流による産物の疑いはぬぐいきれない中、これらの支流群にヤマトイワナの生息が確認できれば、かつて全域において道志川はヤマトイワナの川だったことが証明できそうであるのだがと考えている次第である…。

秋山川の在来イワナ

地理的には山梨県の甲斐郡内地方に属するが、旧秋山村内(現上野原市南部)を流れ、相模湖付近に流入する秋山川について。

道志川とは、まさに姉妹とも呼びたくなるように「道志七里」に対して「秋山川四里」と古くは称されている。

むろん、漁協や有志の放流によってこの川でもイワナ(ニッコウイワナ系)の姿を見ることはできるが、かつて(昭和初期)は支流の玉ノ入川や安寺沢に在来?イワナの姿が見られたという。

このイワナの種が現在みられるニッコウ系のイワナであれば別だが、ヤマト系のイワナであったなら道志川、解釈を広げることが許されるなら丹沢のイワナ在来種はヤマト系であったということが濃厚となりはしまいか?

丹沢周辺の流域においての在来種としてのイワナはニッコウ系のイワナとヤマト系のイワナの部分的な混生であったのでは?という説もあるところだが、これはヤマメ・アマゴの混生問題とも似ている話である。

そもそも、境界線ともいえる神奈川県内の丹沢でこのテーマを掘り下げるのは難しいのは承知の上だが、もし現在でも秋山水系において残存するヤマトイワナが確認できれば突破口になりえるわけであり、面白い展開も見えてきそうなのだが。