昨今の渓魚放流事情について考える

2017年12月27日Fishing

ここではもちろん、渓魚=イワナ・ヤマメを前提にお話ししていきたい。

ここ最近、丹沢界隈の渓流域においてもすでに尺上(約30㎝以上)に達した明らかに放流直後と思われる魚を釣る機会が多くなってきた。

大物ではあるのだけれど、もろ手を挙げて万歳ともいかない魚体でもあるわけで、ナンダカナといった印象を受けたのも事実なのだが、釣り人を喜ばせる漁協のサービスばかりではないようなのだ。

渓流の未来と渓魚たち

釣行を予定する際、事前に漁協の放流量などを調べてからというのが一般的な釣り人の人情といったところなのだが、漁協の放流といっても成魚放流、稚魚放流、非公式な場合も多い発眼卵の放流など様々ある。

国立研究開発法人水産総合研究センター 中村智幸氏の講演の一部をかつて月刊つり人の編集長のコラムに書かれていたことを思い出した。

中村氏は、「イワナをもっと増やしたい」の著者で知られる人物である。

その川の魚を増やすには、成魚放流してもほとんど釣り切られてしまい、稚魚放流の方が効率的ではないかというのが一般的な感覚である。

だが、人の手で育てられた稚魚は弱く、生き残れない確率が高い。

15cmまで育つ生残率は、稚魚放流に対し、発卵眼放流1.67倍、自然繁殖2.31倍であるという。

自然繁殖の魚に比べて人の手で育てられた稚魚は生存率が半分以下である 。

氏は、 親魚(産卵直前の魚)を放流すれば、たとえ養殖魚であったとしても産卵適地においては高確率で自然産卵するという。

この手法はすでに水産庁から「 渓流魚の増やし方 」として紹介されている。

このコラムによれば、群馬、山梨、岐阜県の一部漁協が試験的に導入を始めているということである。

冒頭での尺上の件もこれを考えると、神奈川県内の漁協でもこういった試みを考えた上で成熟しきった成魚を現地に放流しているのかもしれないと想像しています。

10月14日の禁漁日は適切だろうか?

ご存知のように神奈川県内の漁協では、例年禁漁が10月14日となってはいるが、これもいかがなものだろうか?

かつて、釣りあげることばかり考えていたころには歓迎もしていたが、実際のところ丹沢でも標高で900mも上流であれば9月上旬にはペアリングが見られるほどで、これに竿を出すのも忍びない。

9月中旬に一月前倒しして禁漁であれば、 これによって確実に親魚が産卵できる確率が高くなるはずである。

ほとんどの渓流釣期は9月一杯までなわけであって、せめてこれにならってはどうなのかと思う。

10年以上前から岐阜県の高原川漁協や荘川漁協では、それまで9月末だったのを9/10から禁漁にしているが、これにより以降の釣り人の姿も多いという話もあるくらいなので、魚影も濃くはなったのだろうと考える。

一人のしがない釣り人の意見ではあるが、釣り人、漁協ともにぜひ足並みをそろえて考えてみていただきたいところである。

無券者(入漁券)問題

正直言って私自身も無券で釣ってしまったこともあると言っておきたい。

大人になった今ではホームとする中津川水系、道志川水系ぐらいのライセンスは毎年持っている。とは言っても成人する前は買った覚えもないほどで、自慢することではないのだけれどw

中村氏のコラムでは、

1. 内水面の遊漁者の約80%が「漁協があるところでは遊漁券を買わなければいけない」ことを知っている。

2. にもかかわらず、 約30%の遊漁者が「遊漁券を買っていない」 全体の約3割の釣り人が無券者。

買わない人には、買わない理由がそれなりにあるが、まじめに遊漁券を買う人からすれば、無券で釣りをして、しかも大量に持ち帰ることに腹が立つ。

買わない理由はなんとでもつけられるわけだ。

これが現状だそう。

まぁ、組合員の確保や放流などにもお金は必ずかかるわけで、少なくとも大人の釣り人であれば必ずライセンスは購入したいところである。

少子高齢化で釣り人の数も減少している中、河川や湖沼で漁場を管理している漁業協同組合(漁協)の収入が減り続けている現実は避けられない。

コアでニッチなレジャーとなりつつある渓流釣りなのかもしれないが、応援する意味においても入漁券を購入の上で入渓したいものである。